(尾道版) 


尾道の二階井戸尾道市西土堂町、持光寺石門下に2ヶ所あります)


尾道は平野部が少ないところだったので、人口が増え発展していくと、民家は、山の斜面に密集して建てられていきました。その後開けていく市街地平野部は、7割以上が海岸埋立地のため、井戸を掘っても塩分を多く含んでいました。各民家は、1925年に水道が引かれるまでは、水売りの行商や、共同井戸から水を確保しており、毎日、坂道を水を汲んで上がったり、降りたりするのは、重労働でした。やがて、坂道に暮らす人々の知恵は、二階井戸を生み出しました。二階井戸とは、1階からでも2階からでも水が汲めるようになっている井戸です。

T邸の二階井戸

西土堂10-2 T邸、持光寺の石門下1993年頃、寺と市と瀧本さんが費用を負担して、屋根が築かれました。

1階から見上げたところ
一階の井戸枠とポンプ設備

M邸の二階井戸(西土堂5-5 M邸)

この井戸は、近所の長家8軒くらいの共同井戸でした。二階のK邸からも汲む事ができます。昔、井戸水がきれいだった頃は、真っ赤な蟹が棲み付いていました。夏の季節には、スイカ、トマトを冷やしていました。御飯は竹篭に入れて、水面すれすれに釣って冷やしていました。冷蔵庫がなかった時代には、冷たい水の湧く井戸の中は、冷温に保たれ、御飯が腐りにくかったそうです。深さは4.5m(井戸枠からは6.5m)もある井戸です。

昔、井戸替えは、大人が交代で井戸に入り1日がかりでしていました。まず、水を汲み上げ、ろうそくの火を井戸に落とし込み、火が消えないことを確かめて、裸足で入って底ざらえ(底泥を除く)したそうです。住宅が密集しているため、雨の日に増水し、水質が悪くなっています。しかし、飲用できなくとも、大切にされており、水神が祀ってあり花が供えてあります。Mさんは、今も、毎月1日と15日に、食べ物とお神酒を供えています。暮には井戸の大掃除、正月にもお供えをしています。

M邸の二階井戸

二階の井枠部分は、子どもの落下事故防止のため、釣瓶は取り外され、金網を張ってあります。

二階部分から下を覗くと、

1階の井戸の口が見えます。

1階の井戸枠

奥の石段にお供えをします。

1階から2階を見上げたところ

土堂小学校の石段前を右の路地に進むと「二階井戸右」という道しるべがあります

最近、地元郷土史家によって、尾道の古井戸めぐりが企画されるようになったようです。

水道が引かれてからは、尾道の古井戸のほとんどが、飲むという役割を終えてしまいましたが、

井戸は、防災上(地震・防火・断水)からも重要です。昔のように年2回程度の井戸替えをして、

いつ何時でも、湧かせば、お茶くらい飲めるようにしたいものです。

水に感謝!! 平和と水環境を守りましょう。 (C)2004.錦川鯉の名水賛歌VOL.4より


 


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