OSAKA NISISIBU
太極拳
 鍛錬シリーズ
ゆるめることと太極拳 日本中国友好協会
大阪西支部

ゆるめる事と太極拳(1)

 準備体操にゆるめる体操とセルフマッサージをとりいれていますが、少し解説します。

 ゆるめる体操は昔からあり、わかめ体操、静的なものとして座禅などもそれにあたります。

 中国武術の書物では、骨格・筋肉・内臓までゆるめることが大切と出てきます、私も骨を感じるなど、何の事か最初はわかりませんでしたが、今は少しずつわかるようになってきました。

 人間の骨は約206個からなり、本来バラバラで、それらの骨が組み合わされて骨格が形成されています。ばらばらの関節が、なぜゆるゆるに動かないのか、それは関節を固定している腱、筋肉が疲労の蓄積や運動不足によって硬いゴムバンドのようにしめつけられているからです。

加齢とともに日々の疲労が蓄積されると体が硬くなって動かなくなります。これを老化と言うのでしょう。

 さわる・こする・もむ・軽くたたくなどで動きをうながし、ゆっくりと動かすと、少しずつゆるんできます。この時大切なのは意識を骨や内臓・筋肉に置くことです。

 動かす部位に意識を置いて、いろいろな方向に動かしているうちに骨の存在や、筋肉の動きが感じられ、身体意識が高められます。

 身体意識が高まればより運動能力が高まります。ゆるめる体操は誰でも入門出来ますが、とても奥が深いのです。

ゆるめる事と太極拳 (2)

ゆるめる事と立つ事がうまくなるコツ

正しい姿勢をマスターしよう!

 立ち方はあごを自然に引き、頭のてっぺんからひっぱられたイメージで直立します。腹筋、背筋は上下に引き伸ばされた感じでかつゆるめます、百会・会陰を通る中心軸を意識して立つ、動くと中心軸のまわりがよく動きます。その結果背骨をささえる筋肉がバランスよくきたえられ動きもきれいになります。
緊張する場面ほどゆるめよう!

 左に行くのは右に行くため、上げるのは下げるため等、「開合」「虚実」など、相反するものを同時に生かす思想です。太極拳の技術体系は陰陽合一の中国の古代思想でつらぬかれています。コンピューターなどの情報処理も有ると無い、1と0のくみあわせで膨大な情報を処理しています。古代的な思想が超近代的な科学と接近しています。

 社会生活では緊張した場面が多く、忙しさの為必死で取り組んでいると知らず知らずに、緊張したり、悪い姿勢で仕事をしています。悪い癖が身につくと、筋肉のアンバランスにより一層疲労がたまります
 太極拳の練習以外に、日常生活でゆるめつつ、正しい姿勢で立つ・歩く・作業をするよう心がけましょう。

 太極拳がうまくなるには、一式一式を繰り返し練習することと、太極拳に必要な「ファンソン」と「立身中正」の姿勢を身につける事が出発点です。

ゆるめる事と太極拳(3)

ゆるめるのは強い力を出すコツ(骨)

 中国武術には、勁「ケイ」というものが存在して、その種類は暗勁、明勁、寸勁といかにも神秘的と思われる用語が出てくる。中国武術には、「力」を超えた、秘めた力が存在するのです。

 ところが先日の本部指導者合宿での屈国鋒先生の解説では勁とは「うまく使える力、生きた力であり力の用い方である」と言われてしまうと、神秘主義を好む日本人にとってはあまり面白くない。

 しかし、神秘的とはわからないときに神秘的と言えるのであってわかってしまえば、超現実的な現象です。

 少ないエネルギーで優れた力強い動きを行うには、骨格的な構造を最大限いかした筋肉の活動による動作が必要です。 

 何かをしょうとすれコツが必要です。コツとは「最も合理的な動作を達成するスキル(巧緻性)と言える」。

 それらを獲得しようとすれば、どうしてもゆるやかでしなやかな心(頭)と筋肉、動く関節が必要なのです。

 「エッ 仙腸関節って、動くのですか?」

 関節は本来ゆるゆるバラバラが理想?動かないのは関節の用を足していない事だって!

 若い時は、随分無理な運動をしても、パワーでごまかせる。ところが年をとるとそうはいかない、昔の武人の知恵を生かすとか、繊細な部分を総合的にきたえていかなければならない。若いときのように1つのところでの大きな力はむりになります。

 したがって背骨や肋骨、肩甲骨といった関節をしなやかにいろいろな角度から動かそう。若いときのように性急には効果が出ないが、さびついてしまった椎間や関節、筋肉をゆっくり、一つづつ動かすことによってしなやかな体の動きが取り戻せるはずです。

ゆるめる事と太極拳(4)

 人は自分の持っている能力を100%発揮していない。未開発の部分もたくさんある。

 太極拳で用いられる力は、自分自身の身体資源と地球上に存在している力(重力)を最大限有効に利用することである。

 たとえば、抱球動作で腰を大きく左に廻して行くと、左側の腹部を中心にした筋肉が収縮される一方で、右腰背部の筋肉が伸ばされる(筋肉はより収縮した後、よりゆるむ、より伸ばされると戻ろうとする)。

 体を廻すと大地と足底面に重力により反作用が生じる。力を抜くと、それをきっかけに反転する力が働き、それに随って筋肉を操作するとより大きな力が発揮できるのである。

 この時、体が緊張していれば本来あるべきものを100%有効に利用できないのは想像がつくでしょう。「発勁とはゆるめる事である」と言う理屈がうなずけます。少ない関節の力を利用するのでなく体幹部を中心に、関節や繊細な体の部分を開発し総合的に動かすのです。

 太極拳の鍛錬法は、いまだ未開発のところを1つ1つ開発する楽しみがある。

太極拳で用いる力

1.重力2.筋力3.反作用4.関節の構造等 

勁とは、

力を意念(意識)、呼吸に合わせ、力の方向、伝達がうまく出来た上級の力のこと。

 

 

ゆるめる事と太極拳(5)

放 鬆(ファンソン)とゆらぎ 動きのエネルギーは重力

 「発勁とはゆるめる事」と紹介しましたが、太極拳論の中では「蓄勁は弓を張る如く、発勁は弓を放す如く」と表現され、「曲中に直有り」、「蓄えた後に発す」、「静中に動あり」等、剛と柔、相反するものが助け合い同時にその特徴を生かすことが書かれています。

 良い姿勢、構えの時は、体内に自然のゆらぎが有ります。ところが緊張して固くなるとこのかすかなゆらぎがありません。日本の武術でも「居付く」と言って戒められています。

 このゆらぎは体がふらついているのでなく、十分な安定感の中で揺らいでいます。一見止まっているようで動いているのでいつでも動くことが出来るのです。この状態を「静中に動あり」と言うのでしょう。

 体の力をぬき、重さに任せきった動きがどんなに気持ちがいいか、実感したものでないとわかりません。

 動きのエネルギーは体の重さである。筋力は、体の重さを地球の重力に任せて地球の中心に向かって働く引力や反作用と交流し、いかに効率よく働かせるかと言うことなのです。

 自らの体の感覚を問い直し、本来の武術の動きを求め、自然の動きを探求していくのは無常の喜びです。

 

 

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